今回は、SNSでブレークしAmazonの文芸作品の売上ランキングで1位を獲得した話題の本「この部屋から東京タワーは永遠に見えない」を紹介します♪
これだけ鮮やかに情けない話を書けるのは、すごい才能だ_堀江貴文
頭に浮かべることすらはばかるような思いを全部代わりに吐き出してくれていた_峯岸みなみ
個性的な装丁の本の帯には、著名人が絶賛の言葉が並んでいます
この部屋から東京タワーは永遠に見えない [ 麻布競馬場 ]
著者の「麻布競馬場 」ってどんな人?
プロフィールは、一言「1991年生まれ。」という謎めいた方です
ウィキペディアによると・・・
「麻布競馬場」は、東京に生きる人々を競走馬に例えている
「この部屋から東京タワーは永遠に見えない 」は、どんな内容?
例えば、冒頭のストーリーの主人公である高校教師は、こんな感じです
高校教師の背景にあるもの
高校があるのは、「大型チェーン店と閉塞感の他に何もないこの街」であり、教師の地元でもある
早稲田大学卒業後、勤務したメーカーで鬱になり見下していた地元へ帰り教師になった
かつて蔑んでいた地元に出戻った教師は自らの人生を惨めだと言います
高校卒業の教え子に贈った言葉とは?
「誰もが苦しみながら生きています。死なないでください。」
「偉そうな人にも必ずその人だけの地獄の苦しみがあります」
教師が、おそらく自分の人生を振り返りながら、これから教え子達が経験するであろう苦難を思い、絞り出すように語った言葉が印象に残りました
物語の共通項
各短編は、主人公達の理想と現実の大きなズレや皮肉で展開
田舎出身者の東京(とりわけ港区アドレス)への憧れ
高額家賃と収入とのアンバランスのカッコ悪さ
SNSで繰り広げられるキラキラした生活と、自分の生活との比較、劣等感
良い大学を目指し、卒業したら、どこに住んでどんな仕事をするのか、年収はいくらで、などの理想と現実との乖離に悩む男女が主役です
人生を形作るのはスペックなのか?😢
人との比較が、自分を落ち込ませる原因にもなったり・・・💦
「東京クソ街図鑑」より
そして後書きだと読み始めた、著者の内面から搾り出されたような最後のストーリーが、この短編集を総括するようなものになっています
「お前の人生を見る。見えないはずのそれらを想像する。それはつまり決めつけで、決めつけとはつまり暴力だ。」
「お前を決めつけて、お前の地獄を分かった気になって、それを文字にしてインターネットに流すんだよ。」
「お前はこの東京を自由に駆けているようで、実のところ鞭打たれながら決められたコースを競わされるかわいそうな馬だ。」
「すべてをお話しします」 より
この物語を読んで考えさせられた事
読む人の世代や価値観によって、色々な受け止めがあるでしょう
ちょっとゾッとしました💦
30歳は色々な分岐点
一見、キラキラした生活を送っているように見えて、実はこんなにドロドロして苦悩に満ちている若者の内面が、ある意味サラっと語られながら、強烈な印象を植え付ける新感覚な本でした
機会があれば是非✋
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